そもそも、なぜラムダなのか?

と言ってもラムダ計算の話、その名の由来について。

最近ふと気になって調べてみた。すると、いろんな説を見つけた。と言っても大体は同じだ。

見つけた記事の中でも以下の記事が最もまとまっていたので挙げておく。

Why Church chose lambda | Wisdom and Wonder

ただし上記リンクは参照先のリンクが切れているので、リンクは此方から辿るといい。

math.stackexchange.com

さて、リンクを貼っ付けるだけではなんなので、典拠が明記してある “History of λ-calculus and Combinatory Logic” by J. R. Hindley, F. Cardone から、拙いが抄訳して載せておく。なお、出典の脚注は便利なように私が付けたものだ。

ところで、どうしてチャーチは記号として"λ"を選んだんだろう?

[Church, 1964, §2] *1に於いて、 ホワイトヘッドとラッセルによるクラス抽象に使われていた、"x^"の表記が元になっていて、 最初の改良によって"x^"は、クラス抽象から関数抽象を区別するように"^x"となり、 その後"^"は印刷しやすいように"λ"へと変わることになったと、彼は明言している。 この起源は[Rosser, 1984, p.338] *2でも報告されている。

一方で、晩年彼は二人の質問者に対して、 その選択はもっと偶発なもので、記号が必要でλを選んだのはたまたまだったと語っている。

何れにしても、キャレットがその出自であるようだが、そこに何か深い意味があったわけではないようだ。

ところでSchemeの処理系の一つのGaucheでは、lambdaの略として^キャレットが使えるらしい。*3

先祖返りとはこのことか。

*1:A. Church, 7 July 1964. Unpublished letter to Harald Dickson

*2:J. B. Rosser. Highlights of the history of the lambda calculus. Annals of the History of Computing, 6:337–349, 1984.

*3:http://practical-scheme.net/gauche/man/gauche-refj_24.html